ウォーク・ザ・ライン 君につづく道


ウォーク・ザ・ライン 君につづく道


伝説のミュージシャン、ジョニー・キャッシュと運命の女性ジューン・カーターとの愛の軌跡をみつめた物語!!

という風にラブストーリーとして売っているけれど、これはそんなにsweetな恋の話ではありません。


ジョニー・キャッシュという男と彼を陰で支えたジューン・カーターという女のそれぞれの人生の物語だと思います。


最愛の兄を事故で亡くし、父親から「他の子ならよかったのに」と言われ自分が代わりに死ねば良かったのだとトラウマを抱えるジョニー。


歌手として成功しても、様々な葛藤からドラッグに溺れるジョニーを救ったジューンの言葉。



自分自身を愛しなさい



愛を求めているのならばまず自分を愛さなくては人も愛せないのだという、誰にでもいえるこの言葉がとても心に残りました。


ナイーブで誠実で不器用なジョニーの魂を見事に体現したホアキン・フェニックスの歌声は、とてもパワフルで心を揺さぶられました。
もともとちょっと憂いのある彼はジョニーにぴったりだったのではないでしょうか。
良くできる兄の亡霊にとりつかれた、という設定は兄リバー・フェニックスを亡くした彼の境遇と似ているような気もするし。


そしてリーズ・ウィザースプーンの、自身も心に傷を負いながらいつも明るく母親のように大きく暖かくジョニーを見守る歌と演技も、あの「キューティー・ブロンド」のコメディエンヌぶりとは違う大人の雰囲気で、とてもよかったです。


ジョニー・キャッシュというシンガーのことをもう少し知っていればもっと楽しめたんだろうけど、知らなくても、歌のシーンはどれもとても楽しくて魅了されました。
特に伝説の刑務所ライブの様子は音楽が人の心をつなぐという素晴らしさを感じさせてくれます。


静かな感動に暖かい涙を流した映画です。