RIZE

rumirumi2006-02-11


Rize

アメリカで最も治安の悪いと言われるL.Aサウスセントラル地区。
あのロス暴動の映像から映画はスタートし、この街に暴力と犯罪があふれていることを見せつけられます。

そんな街で、トミー・ザ・クラウンがレインボーのアフロをつけたピエロ(クラウン)の姿で誕生パーティの余興などで披露したダンスは、若者たちが暴力に頼らずに未来を見つけるきっかけとなり広がっていきます。
彼が教えるクラウンダンスから更に発展した、激しく感情を表し闘うように踊るクランプダンス。
その2つのダンスのバトル大会「バトル・ゾーン」ではダンサーも観客も、荒廃した街からはい上がろうとする熱狂的な様子が繰り広げられます。


黒人ダンサーたちの動きは本当に迫力があって素晴らしく、最後に白人や東洋人のダンサーもでてくるのですが、比べ物になりません。
それはもちろん、もともと生まれついてもっている黒人特有の身体能力や筋肉、リズム感などの違いもあるでしょうが、この映画を見るとそもそもソウルやルーツが違うんだよな、と思い知らされます。
そう考えるとクランプダンスは新しいものでもなく、自分自身を表現するという踊りの原点でもあるなあと思いました。


ギャングとなって暴力と犯罪に身を任せるもの、またその暴力によって命を落とすものがいるという現実の中で、ダンスに生き甲斐を見いだし、未来に向かってはい上がろう(rize)としたり、子供たちに夢や希望や生きる力を与えようとする若者たちの姿は、自身も元は麻薬の売人だったトミーや、20歳そこそこで一度どん底を味わった若者だったりするので、とても説得力があり感動しました。


心や身体の底から湧き上がる情熱をこれでもかというほど表現する若者たちをとらえた、ドキュメンタリーならではの映像が強烈に心に残りましたが、中でも一人のダンサーが浜辺で夕日に向かって熱く激しく踊るシーンと、普段そんな熱いダンスを踊る彼らが教会で静かなダンスを踊るシーンが印象的でした。


見終わったあと身体が熱かったのはダンスシーンの興奮によるものだけではなかったです。
熱い映画でした。